映画祭の概要
開催日
2024年12月7日(土)〜13日(金)
主 催
日本大学芸術学部映画学科 映像表現・理論コース3年「映画ビジネスⅣ」ゼミ/ユーロスペース
上映協力
アスミック・エース/アテネ・フランセ文化センター/アップリンク/イスラーム映画祭/太秦 /小川プロダクション/きろくびと/コピアポア・フィルム/国立映画アーカイブ/シグロ/ツイン/東宝東和/日大全共闘映画班/北星/マーメイドフィルム/Le Pacte/Palabra/Why not productions
今年で14回目を迎える日芸生主催の映画祭のテーマは「声をあげる」。
2023年10月にハマスとイスラエルの軍事衝突が始まって以来、ガザ地区を中心に犠牲者は4万人を超して今も増え続けている。また、2年前に始まったロシアによるウクライナ侵略は、いつ終わるともしれない。11月末、アメリカ各地の大学ではイスラエルに対して反戦を求めるデモが起こり、若者の勇敢な行動として大きな話題を呼んだ。学生たちは、大学に対し、大学基金や授業料を通じたイスラエル軍関連企業への投資を中止するよう求めた。彼らの抗議の声は瞬く間に世界各国に広がり、日本の大学でも東京大学をはじめ、各地で声が上げられている。しかし、それはごく一部の学生に限り、私たちを含む大半は「自分の問題ではない」と静観した。この現実に起きている問題に対して、目を向けないことへの危機感こそがこの企画の発端である。学生として学びながらも選挙権を持つ社会の一員として、私たちが歴史を受け継ぎつつ現状を直視して、間違っていることに対し「声をあげる」ことはとても重要なのではないか。
本映画祭では、これまでに起こった古今東西のさまざまな事件や現在にも通ずる社会問題について「声をあげる」人々を扱った映画に焦点を当て、「声をあげる」とはどういうことかを観客と共に考えたい。土井敏邦監督『沈黙を破る』は元イスラエル兵士が結成した反戦団体へのインタビューから、今まで語られてこなかった加害者側の心情と葛藤を明らかにする。ほかにも、収容所のユダヤ人によるナチスへの反乱と脱走を、壮絶な体験談と収容所の現在の風景によって描く、クロード・ランズマン監督『ソビブル、1943年10月14日午後4時』をはじめ、貧困・政治問題・女性差別などのために抑圧された人々が決死の訴えを起こす姿を鮮烈に映し出した作品を選出した。
この映画祭を機に、世界で起こっている事件を自分たちにも関係のある問題として捉え直し、どのような行動を取るべきなのかを改めて考えたい。映画を学ぶ私たちにとって、こうした映画を集めて映画祭として上映することが、最初の「声をあげる」行為だと信じている。
(映画祭企画学生一同)
これまでの映画祭
※タイトルをクリックするとチラシをご覧いただけます。
「移民」と一言で片付けられる言葉の背景には、どのような苦悩や苦痛があるのか。日本における移民を扱った作品と共に、日本人が移民として外国へ渡った作品、移民先進国の海外の監督が移民や難民を描いた映画も加えており、日本、そして世界の移民問題について考える映画祭になった。
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し戦争が始まった。それまでどこか遠い存在だった戦争は短なものとなった。「この土地は誰のもの?」戦争について、国について、人々について改めて問う映画祭となりました。
昨今、さまざまな性的指向や性自認への理解が広まりつつある。時代と共に見方や評価が変わりゆく芸術、とりわけ時代の価値観が反映されやすい“映画”を学ぶ私たちだからこそ、見過ごされてきたこの問題に改めて向き合う映画祭。
2020年、武漢から始まった新型コロナウィルスの感染拡大、香港の国家安全維持法の施行など、中国が世界各地でニュースにならない日はなかった。映画を通して中国、台湾、香港や日本との関係を「知る」映画祭。
2018年に発生した日大タックル問題と東京オリンピック2020の間で、学生はスポーツの在り方ついて考えた。スポーツ関連の報道から感じる同調圧力、相次ぐ体罰問題などに着目し、スポーツと映画それぞれが持つ“力”を見つめ直す映画祭。
『キューポラのある街』(1962)に描かれていた、朝鮮半島と日本の歴史に学生たちは衝撃を受けた。「知らなかった」では済まされない過去や問題を「身近なもの」として考え直す映画祭。高い評価を受け、翌年ソウルでも本映画祭のプログラムが上映された。
前年8月に天皇陛下が生前退位の意向を表明されたことは、平成生まれの学生たちにとって天皇や日本について考えるきっかけとなった。日本国憲法が施行されて70年、映画はどのように天皇を描き続けたのかを考える映画祭。
地下鉄サリン事件、9・11、イスラム過激派のテロ事件…。宗教と社会が不穏に結びつく時代を生きた95年生まれの学生たちが「信じるとは何か?」に真っ向から向き合う映画祭。
映画の始祖・リュミエール兄弟の派遣したカメラマンが19世紀末のアイヌ民族の姿を撮影していたことから始まり、映画はいつもマイノリティを映し出してきた。世界的に偏見と排他が蔓延する現代にこそ、学生の視点から日本の差別の戦後史を見つめ直す映画祭。
映画を学ぶ立場から日本映画の未来を見つめることを中心に、21世紀を担う監督たちを招き、自主制作作品や秘蔵映像などの上映を行った今までにない映画祭。4名の監督による討論なども話題に。
映画『マイ・バック・ページ』に感銘を受けた学生たちが現代の視点で「1968」という時代を再評価するべく、学生運動そのものや、そこから生まれた世界の変化や激動を描いた作品を集めた映画祭。